お子様の所属しているサッカーチームが勝てない時のその要因は何なのか?
また、子供達は何を練習するべきなのか?
サッカーのパフォーマンスをあげるために、少し違った角度からの見解をお伝えしていきたい思います。
1.サッカーの勝敗を決める意外な要因
サッカー観戦では、主に攻撃しているチームに目が行くのは自然な事です。
攻撃は見ていて楽しいですし、得点が醍醐味ですから。
得点のシーンがあれば、そのプレーを賞賛したり、
また、攻撃が失敗したシーンなどがあれは「パスの精度が悪かった…」などのように酷評したりします。
このような視点は、「攻撃時のパフォーマンスが高ければ得点を取ることができ、攻撃時のパフォーマンスが低ければ得点を取れない」ということを無意識に暗示することになります。
この視点で行くと、仮に試合に負けた場合には、攻撃時の問題点を浮き彫りにします。
例「パスの精度が悪かった」
などのような。
そして、パスの精度が低いので、パスの精度を高める練習などにつなげて行くでしょう。
しかし、本当にこのような視点だけで良いのでしょうか。
以下では、サッカーというスポーツの性質と、また別の視点をご説明します。
循環の視点
さて、サッカーというスポーツの大きな特徴は、攻撃と守備が “表裏一体” という点です。
表裏一体とは【攻撃】と【守備】がお互いに強く依存(関係)しあってるということです。
これらは非常に結びつきが強いため、例えば、「攻撃の質が高ければ、質の高い守備につながる…」といったよう好循環が起こりえます。
逆も然りで、攻撃の質が低ければ、質の低い守備につながるといった悪循環が起こります。
野球のように、攻撃と守備を切り離して考えることができないのです。
端的に言うと、
良い攻撃は良い守備につながり、良い守備は良い攻撃につながる
悪い攻撃は悪い守備につながり、悪い守備は悪い攻撃につながる
このような見解になります。
以上のように、サッカーでは、 “守ることが攻めること、攻めることが守ること” という循環の視点を持つことが非常に重要になります。
この視点で行くと、パスがうまく通らなく試合に負けた場合には、
普段通るようなパスが失敗するということは、悪い循環に陥っているのでは?
というような、攻守の循環に問題点がないかを疑問視します。
要するに、攻撃の質が悪いのは、守備の質が悪いからでは??という考えです。
守備の質が悪く、攻守のバランスが崩れ、質の悪い攻撃を強いられてるのでは??という考えです。
この循環を悪くしているボトルネックを取り除けば、普段通りの攻撃ができ、パスも通るのではないかと推測します。
ボトルネック<コトバンク>
全体の円滑な進行・発展の妨げとなるような要素
得点とは取るものでなく生まれるもの
攻撃だけを切り取った視点では、攻撃の目的は得点を取ることになります。
しかし、得点とは取ろうとしても取れるものではありません。
仮に、得点を強く取ろうとすると、それは逆にピンチを招くことになります。
なぜなら、攻撃のための攻撃になるので守備が薄くなり、逆に攻められることになります。
その結果、失点が生まれやすくなります。
ロシアW杯サッカーでの対ベルギー戦の失点では、日本が明らかに得点を狙いにいった際に、ベルギーにカウンター食らって失点しました。直接的に得点を強く望んだと同時に、守備のバランスが崩れ、大きな隙が生まれたためです。
一方、循環の視点では、攻守のバランスを整えることを目的とします。
自分たちの形を守り、攻守のバランスを整えることが、結果的に相手への一番きつい攻撃につながると理解します。
そしてその結果、得点が自然に生まれると考えます。
以上のように、視点の違いにより、見解や問題点まで違って見えてしまいます。
これらの視点は、どちらかではなく、両方の視点を持ちながら試合とにらめっこする必要があるでしょう。
良い守備をすることで良い攻撃に繋げる
さて、循環を良くするために、まずは守備のリズムを整えることでバランスを取ることができます。
簡単にできることで効果的なのは、攻守の切り替えのスピードを高めることです。
攻撃が終了した瞬間が一番リスクが高く、そのリスクを最小に抑えることで良い守備に繋げ、さらにそれが良い攻撃につながるという考えです。
攻守の切り替え時に、チーム全体が直線的に、次のシュチュエーションに関与する動きを1秒でも早めると、試合の流れにどれだけの影響を及ぼすか考えてください。
それにより、ピンチの割合を少しでも軽減することができれば、その分チャンスの割合を増やす事を意味します。表裏一体とはこういうことなのです。
サッカーではこの流れをしっかりと認識しなければいけません。
ピンチとチャンスの陣取り合戦なのです。ピンチの総数を減らせばチャンスの総数が増えるのです。
この攻守の切り替えの点で、相手よりも洗練された動きを取り続けることができれば、相対的に試合で優位にたてる可能性が高まります。
ですので試合観戦などでは、ボールとは関係のない選手たちの動きを見る事も、その選手を評価するのに非常に重要なファクターになります。
攻守の切り替えの動き
ボールを持てば上手な子供達が、持たないときの動きに洗練さを欠いている場合がたくさんあります。
このような子供たちは試合中、終始のっぺりとした一定の動きに映ります。
これは、攻守の切り替えのスピード、つまり身体の方向を転換させる際のスピードが身についていないためです。
味方の保持していたボールが、敵のボールになるなどのプレーの転換時に、身体の方向を転換させるための初速動作が遅いのです。
身体の向きを変えるのに無駄な一歩があると、加速出来る状態に持っていけないのです。
これが、のっぺりとした動きに映り、洗練されていない動きになります。
一方、この方向を転換させるスピードが速い子供は、試合の中での動きにメリハリがあるように映ります。
この動きは、ボールを保持した練習で取得するのは困難なので、きちんとそのための枠を取って練習してあげましょう。
軸と体重移動がポイントになります。
両方の視点を持つ重要性
それでも、やはりボールを保持した時のプレーの方が重要という意見があると思います。
もちろんそれも重要ですが、しかし、ボールを持たない動きを洗練させる事は、技術と同様かそれ以上に重要視すべきです。
良質な選手は間違いなく、ボール保持しない動作が良質です。
ボールを保持した練習だけに傾倒しすぎると、練習内でこのような動きを身につけることをおろそかにします。
これは、切り取りの視点(攻撃時のパフォーマンスが高ければ得点を取ることができ、攻撃時のパフォーマンスが低ければ得点を取れない)だけを持っているためです。
ですので、循環の視点(守ることが攻めること、攻めることが守ること)も同時に持つことで、ボールを保持しない動きの重要性を知ることがとても大切なのです。
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