いくら練習してもトラップが上達しない、または実践でトラップが苦手な人は、「トラップ=ボールを止める」という視点から少し離れて、「トラップ=鎖」という視点に切り変える必要があります。
サッカーのトラップとは、ボールを正確に止めるための技術ではありません。
サッカーのトラップとは、攻撃の繋ぎ目であり、リレーでいうとバトンの受け渡しの役割を果たしています。つまり、鎖の役です。
リレーで良いタイムを出すためには、スピードを落とさないようなバトンパスが必要なように、サッカーでも、単にボールを止めるだけでなく、スムーズに次の攻撃に繋げれるように、「止めると攻める」が連動したトラップが必要になります。
トラップが苦手な人とは、ボールを正確にトラップするだけの練習をしている可能性があります。しかしそれはトラップと、その後のプレーとが分離した練習になってしまってるので、実践では使える技術ではないのです。
リレーのバトンパスの練習をするのに、バトンを正確に受けとる練習だけはしないと思います。
ですので、トラップ練習では必ず、トラップとその後のプレーを連動させた練習を行う必要があります。
サッカーのトラップが苦手な人が行う練習方法
サッカーのトラップの要素とは大きく分けて2つある
サッカーのトラップの要素とは大きく分けて2つあります。
・自身のトラップ
・味方とのタイミング
連動させたトラップをするためにはこれらをおさえて練習する必要があります。そして、それぞれに3つの留意点がぶら下がっています。
自身のトラップ
自身がトラップする際の3つの留意点とは
・足のどのポイントで
・身体のどの付近で
・どのような身体の使い方で
です。
足のどの部分で
トラップの上達の最初の鍵は、足のどの部分でトラップするのかが大きな鍵になります。トラップにムラがある人は、トラップをするポイントがその時々でバラバラです。
実は、トラップとはインサイドキックの当てるポイントと全く同じ場所になります。インサイドにおいては、キックもトラップもある一箇所で行います。そのポイントとは、足のかかと側、厳密にいうとくるぶしの下あたりです。
そして、トラップをする際には、足のつま先全体を上に持ち上げ、足首を固定します。固定した状態で、くるぶしの下辺りでトラップする事を心がけてください。
足首を持ちあげて固定するには、スネの横の筋肉を使います。日常から足首を上げたり下げたりする運動で、ここの筋肉を鍛えておいてください。
最初は違和感を感じるかもしれませんが、慣れてくると、そのポイントに当たらなければ不快感が出てくるようになるので、そこまでは我慢してしっかりとポイントでトラップできるよう頑張りましょう。
【ポイントおさらい】
・同じ場所に当てる事
・くるぶしの下辺りがポイント
・つま先を持ち上げて固定する
・インサイドキックも同じ場所で
身体のどの付近で
次は、身体のどの付近でトラップをするのかです。
例えば、正面からきたボールに対してはどの付近でトラップをするのか。多くの人は、あまり深く考えずに、自身がトラップしやすいようにトラップをします。ですので、だいたい軸足の真横あたり付近でトラップをすると思います。
しかし、実際はどの辺りでトラップすべきかというと、軸足のつま先より前方です。そして、ボールに触れた瞬間に素早く足を戻します。軸足の膝を軽く曲げる事で、前方へ足が出しやすくなります。ボールに触れた付近でボールが静止すれば成功です。
この、半歩前の付近で、自らボールに触れるイメージを持ち、その場所でボールを止める事を徹底してください。
ではなぜ前方でトラップをする必要があるのか。それは、
・視野の確保
・トラップ後のプレーのしやすさ
です。まず、
視野の確保
から説明します。
上記で説明した、軸足の真横あたりでのトラップとは、目線が足元に落ちることを意味します。これは一瞬ですが、周りの視野を失うことを意味します。
トラップ前は周りの状況を把握していたとしても、トラップした瞬間に一度視野を失うと、状況を把握し直すのに少し時間が必要になります。サッカーでは、この失った一瞬の視野が命取りになります。
周りの状況を把握し直してる間に、敵のプレッシャーはやってきます。その時は、「時すでに遅し」です。周りの状況が把握できていない状態で、現状の危機を打開しようとします。これが焦る人のメカニズムです。
ではどうすれば良いのか。
それが、前方でトラップすることです。トラップの際はできるだけ前方でトラップをします。自分とボールの間に少し空間を作るイメージです。
これにより、アゴが下がりきらず、ボンヤリとした状況認識は確保できたままトラップができます。そして、状況が完全に遮断されていないので、トラップ後も落ち着いてプレーができます。
トラップ後のプレーのしやすさ
半歩前でボールを止めると、どのような状況にもすぐに対応できるプレーができます。
しかし、足元にボールが入ると、一度ボールを前方に動かしたりしないといけなくなり、そこに無駄な動きが生まれ、敵のプレッシャーに対応しずらくなります。
さらに、足元でトラップをすると、足を引く行為が困難になり、反発が強くなりがちになるので、身体からボールが離れていくこと多くあります。これも敵のプレッシャーに対応しずらくなります。
以上、トラップする際は、自分とボールの間に空間を作ることがとても大事になります。これが前方でトラップをする理由です。
【ポイントおさらい】
・半歩前で触れるイメージ
・ボールに触れた瞬間素早く足を戻す
・軸足を軽く曲げる
・くるぶしの下辺りでトラップする
どのような身体の使い方
「どこでボールを、どの付近でボール」ができたら、次は、トラップと同時に次のプレーに繋がる体勢を取る必要があります。ボールを止めることができても、次に繋がるプレーが出来なければ意味がありません。
ここで身体の軸について少しお話しします。人が身体を支えるために軸というものが存在します。下の写真のように左足でトラップをした場合、身体の軸はどこにあるかわかりますか。
正解は右足です。右足に重心が乗って身体を支えています。この状態から次のプレーに繋がる、素早いプレーをするために、やらなければいけないことがあります。
それはトラップをする瞬間に、軸を右足から左足に入れ替えることです。軸足が右側に固定されたままだと、身体が固定されてしまい、次のプレーに移る動作が遅れてしまいます。
ですので、トラップと同時に軸を入れ替えてあげる必要があります。ではどのようにして入れ替えるのでしょうか。その方法はいくつかありますが、主要な2つの方法をお伝えしたいと思います。それは以下です。
・スキップトラップ
・ジャンプトラップ
スキップトラップ
一つ目は、スキップによる軸を入れ替える動きを利用します。ボールの動きを予測してスキップ動作を合わせてトラップすることが大事になります。
最初は大きなスキップ動作でタイミングを合わせて、慣れてきたら小さなスキップ動作でタイミングを取れるようにしましょう。この方法により、軸移動を容易にし、次のプレーに繋げることができます。やり方は動画で解説します。
【ポイントおさらい】
・トラップの際にスキップをして軸を入れ替える
・スキップの着地と同時にトラップをする
・最初は大きくスキップをしてタイミングを取る
・慣れてきたら小さいスキップ
ジャンプトラップ
次はジャンプを利用して軸を入れ替えます。一方の足でジャンプして、逆足でトラップをします。右足でトラップをするのであれば、左足でジャンプをします。感覚的には、両足が宙に浮いている最中にトラップするイメージです。
トラップした後は、身体とボールが共に動く体勢が取れるので、スペースへのトラップに有効です。あとは、緊急度の高い場面や、ゴール前のシュート場面でも活用します。
やり方は動画で説明をします。
【ポイントおさらい】
・一方の足でジャンプして、逆足で着地して、そのタイミングでトラップをする
・両足が宙に浮いている状態でトラップをする
・緊急性が高い時や、スペースへのトラップの時に使う
味方とのタイミング
トラップとは、タイミングを取ることがとても重要になります。冒頭で話した「トラップ=鎖」のイメージとは、味方とのタイミングを合わせることを意味します。
・どのタイミングで
・どの場所でもらって
・どの場所に運ぶのか
まずは、「どのタイミングで、どの場所でもらうのか」を徹底して練習します。
どの場所とは、どこでボールをもらうのかです。そして、どのタイミングとは、動きを止めずにボールをもらう事です。これらの動きとは、味方の蹴るボールの動きを予測してイメージしなければ成功しません。
この練習の目的とは、予測イメージした事に対して、正確に身体で体現させることです。実は、この概念が、全てにおいての基礎となります。必ず、身体より頭(脳)を先行させる必要があります。脳で捉えた事に対して、身体をしっかりと動かせる必要があります。
ですので、タイミングをとるということはとても重要になります。
上手にタイミングが取れない人は、イメージと身体がフィットしていない証拠です。これは、予測ができていないことを表します。予測なしにプレーしているので、実践で活きたトラップはできません。
そして、「どのタイミングで、どの場所に」の練習の中で「スキップトラップ、ジャンプトラップ」それぞれで正確にトラップができるようにしましょう。その後は、どの場所に運ぶのかを追加していきます。これらをこなしていく事で、「トラップ=鎖」のプレーが体現できてきます。
トラップが苦手な人は、是非ともこれらをおさえて練習してください。
以上がトラップの上達方法でした。
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