指導者が教え子の失敗に対して、
「あの時はこうすべきだった!」
という類の発言をよく耳にしますが、それは指導とは呼びません。
例えば指導者の発言として、
「ドリブルが大きい!」→ボールは身体の近くに置くべきだった
「そこにパスを出すな!」→そこに出すべきでなかった
「シュートを浮かすな!」→シュートは抑えるべきだった
などなど。
しかし、これらは全て「当たり前じゃん」って話なんです。
じゃんけんで「グー」を出して負けた子供に対して、あそこは「チョキ」を出すべきだった
と言ってるようなものです。
単に過去の失敗に対しての指摘で終始するなら素人でもできます。
後出しジャンケンのような指導は、自己満足なだけであまり意味がありません。
サッカーの指導者は子供の問題を解決する立場です
失敗に対して、反射的に指摘したくなる気持ちはよくわかります。
しかし、それらは評価にこそなりえても、問題解決にはつながりません。
発言する前に自答を
指導とは、問題の解決につながるものでなければいけません。
もし、子供が失敗したと思った時には、一度以下の問いに自答してから発言するかどうかを判断してみてはいかがでしょうか。
①本当に失敗だったのか?
②失敗だと思った理由は?(前提条件や基準を明らかに)
③子供が失敗した理由は?
例えば、ドリブルを敵に奪われた事象に対して。。。
①本当に失敗だったのか
answer:はい②失敗だと思った理由は?
answer:大きく蹴ることで相手に奪われたから
(前提条件1)身体からボールが離れると、ボールは誰のものでもない
(前提条件2)大きく蹴ることで、誰のものでもない時間が長くなる③子供が大きく蹴った(失敗した)理由は?
answer:・・・・・・
②まではクリアしてますが、もし③の答えに詰まるなら、
「ドリブル大きすぎるやろボケー!」という様な指導になります。(笑)
理由まで落とし込めてないので、過去の失敗に対しての指摘で終わります。
指導者が失敗した理由を理解できていないのに、子供達に理解できるはずがないので、
これは改善には結びつきません。
これは簡単にいうと子供のせいにしてるということです。
問題が自分ではなく子供にあるという態度になります。
子供の問題は指導者の問題
指導者は、問題を解決してあげる立場にあるので、子供の問題は指導者の問題として捉えるべきです。
失敗した理由を考える
例えば、先ほどの③の理由で考えられるのは、大きく分けると
・技術的なミスなのか
・判断的なミスなのか
になります。
技術的なミスならば、普段からできていない可能性があるのでしっかりと要因を探りましょう。
もし判断ミスであるなら、なぜ判断ミスをしたのかというところまで掘り下げます。
判断ミスをした理由として、その直前プレーで技術的なミス(足りていない技術)によってもたらされた可能性もあります。
頭の中で色々と仮説を立てて検証していきます。
もし答えが出ない場合は、子供に対しては何も言わないほうが良いです。
もしくは、子供に聴いてみるのも良いと思います。
なぜあの様なプレーになったのか。
ただ、子供は本当のことを言わないことが多いので(本人は嘘をついてるつもりはない)
どこかにヒントがないかを探ります。
以上の様に、「なぜ?」を問うて行くことで、
子供達の問題を解決する糸口を見いだしていきます。
理由とともに伝える
ある程度、失敗した理由に仮説を立てることができれば、子供達に失敗した場面と、失敗した理由を伝えましょう。そして、今後その課題を克服していこうとを伝えて、実際にトレーニングに落とし込みます。
そうすれば、子供達も意識してトレーニングに取り組めますし、次に同じ失敗をした時は「指摘」だけでも改善できます。指導者と子供がお互いに共通認識し合っているので。
子供達の抱えている問題を解決してあげて、上達させる指導方法をとっていければ指導者としては最高ですね。
それってどのような類の指導なの??
指導者の、罵倒に近い指摘は数多く見受けられますが、先日観に行った試合で試合中にこういう指摘がありました。
「お前いつになったら使えるようになるねん!!」と。
これってなんの類の指導なんでしょうか。指導者なりに何らかの問題認識があっての発言かとは推測できますが、言われた本人は、何をどう改善すれば良いんですかね。
この発言の問題点は、このような発言に至った理由が明確でない事です。
どこに失敗があったのかが誰もわからないのです。
以下の自答に当てはめる以前の問題になります。
失敗自体が明確になってないので、問題を解決するためのフローにも入ることが出来ないです。
①本当に失敗だったのか?
②失敗だと思った理由は?(前提条件や基準を明らかに)
③子供が失敗した理由は?
こういう指導者は、問題解決ができる指導者ではないです。
指導者という立場を利用した、権力者の暴君です。
自身の能力のなさを、子供に転嫁すべきでないですよね。
この記事へのコメントはありません。